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ダイオキシンの乳児への影響
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母乳は危険?安全?
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ダイオキシンの乳児への影響が世界中で心配された時期があります。 それは,ダイオキシンが乳脂肪に蓄積して母乳から供給されるため,乳児は一時的に体重あたり成人の数十倍のダイオキシンを摂取する事になるからです。 現在では各国政府が「母乳保育を続けることの方がメリットが高い」として,ダイオキシンの影響は無視できるとの見解を示しています。 |
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リスカルの考え
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各国政府は現在,母乳保育は続けるべきとの判断を示しています。 しかし具体的にどのくらいの影響が見込まれるかまでは発表していません。 それをここで考えてみましょう。 私たちは過去に研究論文として,母乳と粉ミルクによる乳児の体内ダイオキシン濃度を比較検討したことがあります。 その結果から,母乳の影響は粉ミルクと比較してそれほど差はないと判断しています。 それは以下の理由からです。 [参考文献1] |
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PBPKモデル
によるシミュ レーション 曝露量推定 |
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上の図は,0歳から20歳までの肝臓中のダイオキシン濃度を,母乳保育の場合(赤線)と粉ミルクの場合(水色線)で比較した結果です。
母乳の子供の肝臓中濃度は一時的に上昇しますが,すぐに下がってきます。 これは,母乳摂取の減少と乳児の成長による希釈との両方の影響です。 5歳までに母乳保育児も粉ミルク保育児も同じくらいの濃度になります。 そのため,母乳の影響が成人まで続くということは考えられません。 |
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補 足
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乳児期の一時的な濃度上昇による悪影響がある場合は,ダイオキシンの母乳摂取を心配する必要があるかもしれません。 2006年現時点で,そのような悪影響につながるとの報告は出ていません。 しかし,今後あたらしい科学情報がでないかどうか気をつける必要はあります。 |
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参考文献
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文献1: Maruyama W et al. (2004) Environ.Toxicol.Pharmacol. 18:21-37 |