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 用語解説1
説 明
曝露評価
とは
 曝露評価(exposure assessment)とは,物質が,人や野生生物の体に取り込まれる量を推定することです。この評価の大事な点は,現状の曝露量を正確に推定する事によって,実際の危険がどれだけあるのかを,間接的に知ることができる点です。 たとえば,大気中に汚染物質が含まれている場合,大気中の濃度と人の呼吸量を掛け合わせると,人の体への取り込み量がわかります。 この取り込み量(曝露量)を元に,健康リスクを評価します。
その方法
★濃度の推定: 分析と計算★
 
曝露評価でまず重要なのは,環境中の濃度を正確に把握することです。これは大別して2つの方法で行います。
 1つは,実際の濃度を測定する方法,もう1つはコンピューターによる推定計算法です。
分析法の
特徴
★分析の特徴★
 
分析の場合,現状の答えが正確に得られる点が長所です。短所は,分析や測定が難しい所です。一般に環境中の化学物質濃度は非常に低く,また不純物が多いため,分析が難しいのです。そのため分析費用が高くなることも,欠点の一つです。
推定計算
の特徴
★推定計算の特徴★
 実際の環境試料の測定が困難な場合は,計算による推定が有効です。コンピューターを使った複雑な推定方法が,学術レベルでは活発に研究されています。
 コンピューターによる計算の利点は,実験の手間や汚染がなく,費用もかからないことです。実はこのことは重要で,環境試料の分析のために大量の有機溶媒を使わざるを得ないとか,野生動物の曝露試験のために,別の実験動物を犠牲にするなど,実験には幾つか問題点が常につきまといます。しかし推計計算の場合はすべてコンピューターで行うので,こうした問題は一切無関係です。
 もうひとつは,実験不可能な極端な条件でも,推計できるという事です。
 例えば,数十年もの長期曝露の影響を予測することも可能です。環境汚染物質の曝露評価をする場合は,生涯曝露など,数十年の長期にわたる影響を評価しなければならない場合が殆どです。実験や疫学の実測データでは,こうしたデータは決して得られません。しかし,推計計算であれば,楽にできます。
”曝露”

という単語

 曝露(or 暴露)という単語は,辞書をひくと「露わにする,(風雨に)さらされる」という意味が第一に出てきます。 環境科学の方で使われるような意味とはかなりニュアンスが異なります。 恐らくは,放射線被曝の分野で使う被曝という単語から派生して,自分の意志に反して(毒物に)さらされるという意味で,環境科学の分野で使い慣らされたのではないかと考えられますが,正確な所はわかりません。

 同じように体に取り込む意味の摂取という言葉が意図的な取り込みの要素が強いのに対し,曝露の方は非意図的,被害的な取り込み方をさすようです。 

 環境科学では意味や由来が確定していない単語が多く,違う研究分野の人と話をするときには,互いに勘違いが生じることがあります。 相手が使っている言葉の意味に注意して,相互に確認してから議論することが必要でしょう。

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