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用語: 運命モデル (fate model)
運命モデル
(続き)
 実際の運命モデルでは,どんな計算をするのでしょうか? ここでは,Mackayのユニット・ワールドを例に,運命モデルの計算方法を示してみます。 
モデルの構成
 モデルの全体構造や中味の構成は,目的と対象物質,すなわち何を解析したいか,どのような状況を再現したいか,によって異なります。 ですから,漫然とモデル・プログラムを作ることには意味がありません。
 また,解析しようとする対象が新しくなる度に,新しいモデルを構築する必要があります。 
 例えば河に有害物質の塊を投下した時の,河の水や河床の土(底質)へ,どのように分布するのか,を知りたければ前のページにあったような状況を考えて,モデルを構築します。 また魚への影響を知りたければ,河と底質に魚を加えたモデルを作ります。 河の水の量,流速,川の巾と深さ,温度や,底土の成分と粒子の粗さ,などの必要な条件を設定します。
 このようなモデル構成は,空気(大気)や水(川)や土(土壌)といった,異なる媒体(media)間での物質移動を記述するもので,一般に多媒体モデル(multimedia model)とも呼ばれます。
 また,各媒体をコンパートメント(compartment)と見なして,複数のコンパートメントの連結したものの間の物質移動を扱うという意味で,
コンパートメント・モデル(compartment model)と呼ばれたりもします。 コンパートメントとは,イギリスの列車にある,仕切で区切られた客室の事です。
ユニット・ワー
ルドの模型
 
 予測はコンピュータ・シミュレーションで行います。 
 各媒体の性質と量の情報や,中で分布・移動する物質の量や化学変化など,必要な情報を条件に設定してやることで,コンピューター上でいわば”
仮想空間”を作り上げるのです。 

 このような仮想空間をユニット・ワールドと呼び,現実を単純化したモデルとして使われます。
 ユニット・ワールドでのシミュレーションを,実物の地球規模まで拡大することで,地球全体でのシミュレーションを可能にしようというものです。

上図:ユニット・ワールドの例。
参考文献
 詳細を知りたい方は,下記の本などを参考に勉強してみて下さい。 入門書としてはいい本だと思います。 残念ながら,日本語の適切な参考書はまだありません。

文献1:Multimedia Environmental Models. (1991) by D.Mackay. CRC Press.
文献2: Chemodynamics and Environmental Modeling. (1998) by S.Trapp and M. Matthies. Springer.

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